ベトナム送り出し機関で働く日本人のブログ

ベトナム生活で日々感じたことを不定期更新します。ベトナム人材(技能実習生、技術・人文知識・国際業務、特定技能、インターンシップ)についてのご相談を承ります。

ベトナム法人に出資します!

事業内容:ベトナム国内または在日ベトナム人材についての紹介、日本語教育、書類作成、支援業務


取り扱う在留資格:技能実習、特定技能(予定)、技術・人文知識・国際業務、留学、特定活動(インターンシップ)



出資の決め手は、以下の3点です。
①株式の10-15%を取得できること
②役員として経営に参画できること
③ビジョンの共感


これまで2社の送り出し機関で働きましたが、これで3社目になります。転職が増えてしまうことに恥ずかしさはありますが、理想の送り出し機関を作っていけることに大きな魅力を感じています。


株式の10-15%を取得します。

私、決してお金に余裕があるわけではありません。皆様が想像する以上に持っていないので、これから家族に迷惑を掛けることは必至ではないかと思うと、申し訳ない気持ちです。


しかし、この新しい会社が成功することで、沢山のベトナム人や日越両国のためになると信じています。関わった方から喜んでもらうことでやり甲斐や達成感を得たいですし、人生一度きりですから後悔のないように生きたいという想いが勝っています。


ベトナムに来て出資を提案されたのは、今回初めてです。如何にもお金を持ってなさそうだから声が掛からなかったのかもしれませんが、、ベトナム人材業界は、活況です。創業者でお金持ちに成り上がった人たちを見てきました。利益を独占したい気持ちは誰しもあると思いますが、一緒に成功しようと上辺だけではない言葉をかけてくれたのは信頼の現れだととても嬉しく思いました。


役員として経営に参画

当然の話ですが、株主であり、会社役員であれば、社内の決定事項に対して発言力があります。


ベトナムではよくあることですが、1つの会社に社長や副社長、取締役が何人もいます。名刺の肩書が立派なので、対外的に役立ちますが、与えられている権限は部下への指示出し程度です。


私も、なんちゃって役員の一人です。経営会議は蚊帳の外、情報開示は限定的で、実習生から徴収する手数料や売上など教えてもらうことは出来ません。


クレームが起きたときは大変です。他部署のスタッフに協力を要請したりしますが、面倒くさいことに関わりたくないなどと考える人が多く、仕事を後回しにされます。経営陣が対応に動くまで説得することもありますが、やたらと対応が遅くなり、問題が更に大きくなります。吉本興業の初動ミスが話題になっていますが、他人事ではありません。そういえば1社目は契約書を用意してくれなかったなぁ~~。。


ビジョンの共感

出資者は私含めて4名で、私以外はベトナム人です。表向き立派なビジョンを掲げるだけではなく、理念に共感している仲間。人間的にも魅力がある誇れる仲間です。



事業の中身について
・ベトナム人材の費用負担は業界最安
・募集は直接応募と、教育機関との提携による集客
・最適な学習環境と教育を提供する


費用について

私が経験した2社の送り出し機関では、会社から聞いていた金額と職員や、実習生の聞き取りなどに開きがありました。聞いていたよりも数万~数十万高いことも。何故かブローカーを介した応募者よりも、直接会社に応募してくれた実習生のほうが高い手数料を払っていた逆転現象を確認したことがあり、会社に対して非常に不信感を持ったことがあります。


実習生が送り出し機関に支払う高額な手数料は、銀行の借り入れにより工面します。ベトナムの銀行の借入金利は7~10%にもなります。元本返済から、貯金ができるまで、彼らに余裕はありません。送り出し機関が厳しい軍隊式の教育をしても、受入企業や組合の職員さんが家族のように可愛がってあげたとしても、失踪者が出てしまうのは、致し方ないと感じることも少なくありません。


実習生の手数料から賄っているキックバック、ベトナムでの講習依託費、送り出し管理費の値下げなどは基本的に応じることができません。講習委託費は、ベトナムの労働省が定めているとおり、1.5万円を頂戴したいと考えておりますが、金額以上の教育をします。ベトナムにお越しいただいたら、おもてなしをしたいと思っています。派手な接待はできませんが、実習生たちと食事の機会を設けたり、実りある滞在となるように工夫いたします。


在ベトナム日本大使館のホームページのリンクです。ベトナム実習生の手数料など費用面についてご参照ください。
https://www.vn.emb-japan.go.jp/files/000325621.pdf


本人の費用負担が少なくても、募集は簡単ではありません。

手数料を安くすることで、人材募集が容易になるかというと、それほど単純ではありません。ブローカーによる募集構造が出来上がっているからです。正直に申し上げて、弊社でも始めのうちは少なからずブローカーに頼らざるを得ません。ブローカーに支払う手数料は、会社により10万円までと決められていたりしますが、送り出し機関でも管理できないため、実際はそれ以上払っている人も多いです。弊社としても、注意しなければならず、ブローカー脱却を目指さなければなりません。


実習生が高い手数料を払う理由の一つとして、少しでも早く日本に行ける、多くのチャンスがある=面接の機会が沢山ある。また面接に参加するために、手付金を払うため、他社の面接に参加することが難しくなります。


募集の問題を乗り越えるためには、安定的に且つ沢山の求人票を集めることと、本当に安い手数料でも日本へ行けるんだぞという信用を得ることが必要です。弊社では、当面の解決策として、教育機関との連携を強めていく方針です。ベトナム北部と南部に提携先があり、在学生を中心に日本語や専門教育を行います。


*因みに、先週の採用面接の合格者は、手数料3,800USD(教育費含む)でした。ここにブローカーの仲介料が入ってくるので、約1,000USDを本人が負担することになります。少なく見積もっても他社より30~50%は安いです。募集にかかる費用負担が大きいので、少しずつでも減らせるようにします。


日本語学習について

ベトナム人の出資者3名は、全員N1です。教育にかける意識が非常に高く、新しいことを取り入れる柔軟さを持っています。


提携先の教育機関は、現状は2つの短期大学と1つの高校があります。内1校は、社長が副学長に就任しています。学校側と協力し、学生を集め、日本語や専門教育を行います。沢山の生徒の中から、日本で活躍できる人材を育てたいと考えております。提携先は、今後も増やします。


個々が目標を持てるように、共に成長を喜び応援し合えるように、私たちがコンプライアンスを守ること、教育者の能力や意識が高いこと、学べる場の提供と環境作りをしていきたいと思います。


他にもいろいろとお伝えしたいことはありますが、、興味を持ってくださったらお問い合わせください。


最後に・・・

理想の送り出し機関を作るために、出資することを決めました。本当はもっと早くから出来たら良かったですが、前職でも叶わず、一度同じ様な話があったときも空中分解しました。根深い習慣や価値観の違いから自分の思い描くものは不可能ではないか、共感してもらえる仲間、一緒に頑張ろうと思える仲間は見つからないのではないかと諦めていました。


私たちの目指すところは、ベトナム人材側の負担が少ない分、日本側にも負担を強いてしまいますが、その中でもできる範囲で柔軟に対応したいと思っています。また制度に沿った運営ですのでご理解いただきたいと思っています。日本とベトナムの架け橋になることを本気で考えています。実習生たちの笑顔を見たいですし、長期的には必ず日本の皆さまにも喜んでいただけると信じています。



皆さま、記事に共感いただけましたら、応援よろしくお願いいたします!具体的には、求人依頼、ご紹介などいただけたらとても嬉しいです!お問い合わせも大歓迎です。


メールアドレス:vietnam.maru@gmail.com


特定技能に関しての、日越協力覚書が交わされました。

先日、ベトナムのグエン・スアン・フック首相が来日し、G20大阪サミットに出席、東京の首相官邸では安倍首相と会談しました。


そして業界の方なら周知の通り、2019年7月1日付で日越協力覚書が交わされました。話だけ先行していたベトナムの特定技能ですが、いよいよ土俵に上がることになります。


フック首相の来日前から、覚書は既に交わされており、公の発表を待つだけと噂が広がっていましたが、本当にその通りになりました。固い情報であったのもあり、今月面接が決まっている送り出し機関があります。


覚書の中には、運用方法まで明記されていないため、今後の発表を待つ必要があります。送り出し機関は許可制になるようですし、見切り発車の面接により、トラブルが起きないことを願うばかりです。


ベトナムで10年以上仕事をしている日本人の一言が心に残っています。『私は人と、葬祭品は扱いたくない。それ以外は仕事にする!』と、この業界にいる私に、それを言うかと思いましたが(笑)


人材の争奪戦、囲い込み、競争が激しくなるばかりですが、環境や周りに流されずに、誇りと使命感を持って取り組んでいきます。



最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

お問い合わせは、下記までお気軽にご連絡ください。

vietnam.maru@gmail.com

技能実習生の履歴書は、嘘ばかり!?

読売新聞オンラインの記事を読みました。記事の内容は、紛れもない事実です。。



技能実習生の履歴書には、2つの種類があります。

①採用企業が面接する時のために用意する履歴書

面接に参加する候補者の履歴書です。面接日の1週間~3日程前までに、送り出し機関から監理団体へ送られます。


本題とは外れますが、記事では、②の方が職歴偽装の対象となっていますが、①も偽装されていること多いのでご注意を!送り出し機関や候補者が合意のもとに、面接に合格するため、その場を取り繕うために偽装していることがあります。前職では偽装を何回も目撃し、その度に正直に本人の経歴を伝えた方がいいと指摘した経験があります。その送り出し機関の悪習は、1年では治りませんでしたが、最終的に随分まともになりました。



②入国管理局に在留資格申請するために用意する履歴書

技能実習生は、ベトナムの勤務先の職種と、実習先の仕事が一致している必要があり、それを証明しなければなりません。送り出し機関には、職種ごとに提携会社があり、該当職種の書類作成が必要になるとお金を払い、勤務実態を用意します。


技能実習生の2号移行対象職種に『ビルクリーニング』があります。実習生の多くは、地方の農村地域の出身者ですが、高層ビルがないような田舎です!『そう菜製造業』と言ってもコンビニ自体少ないし、お惣菜はほぼ無いに等しいです。ならば『農業』は大丈夫?ベトナム人の70%は農業をしてるぞ~!と現実は甘くなく、、日本側が求める書類を用意することはできません。逆に手間がかかります!つまり、実際にベトナムでの職種と実習先の仕事が一致している場合であっても、お金を払い偽装書類を用意している現状です。。


特定技能の書類で気をつけること

この記事を書いている時点では、日越協力覚書の締結は公表されていないため、必要書類については不明です。情報が入り次第、記載いたします。



(おまけ)元実習生が、留学生や技術ビザなどを取得し再入国することがあります。その際、技能実習ビザ取得のために、入国管理局へ提出した履歴書は非常に重要な書類となります。実習生で入管へ提出した履歴書と、新たに提出する履歴書は一致している必要があるからです。


技術ビザは大卒資格が必要です。元実習生の中には、大卒資格を持っているのに、技能実習ビザ取得のための履歴書には、最終学歴が高卒で入管に提出されているケースがあります。理由として、大卒者が技能実習をすることに違和感があるとか、職歴期間を作る必要があったからと言われています。近年、元実習生が再入国を希望することが増えてきたため、学歴を改ざんする送り出し機関はなくなったと思います。


まとめ

技能実習生の履歴書は、制度と実態のゆがみを生んでいる一因です。書類を用意するための費用は、実習生が負担します。送り出し機関の書類業務は、複雑になり人為的なミスも起こります。履歴書の間違いにより、在留資格が不交付となるケースでは、二度と日本に入国できなくなるばかりか、送り出し機関に払った前金が返金されない。仕事を退職してしまうため、再就職先を探す必要があるなど、最悪の事態も招くことがあります。


夢を持った実習生たちを応援できる、嘘をつく必要がない制度になってほしいと願うばかりです。


以上です。最後までご高覧頂きまして有難うございました。



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E-mail:vietnam.maru@gmail.com(べとまるブログ)