ベトナム送り出し機関で働く日本人のブログ

ベトナム生活で日々感じたことを不定期更新します。ベトナム人材(技能実習生、技術・人文知識・国際業務、特定技能、インターンシップ)についてのご相談を承ります。

ベトナム送り出し機関がブラックだと言われる一因がコレです。

日本語センターで勉強しているベトナム技能実習生から相談を受けました。


彼は紹介者を通じて、弊社の面接に応募し、無事に内定いただきました。約2ヶ月ほど勉強している中で、とても一生懸命で頑張っていて、拙い日本語で昼ごはんやお茶に誘ってくれたり好感を持っていました。そんな彼を紹介してくれた紹介者には感謝していました。


ところが先日、紹介者に支払った手数料と誓約書があることを聞かされました・・・。



ベトナム人材が支払う手数料とは・・・

(手数料について、ご存じの方は飛ばしてください。)
技能実習生が来日するために、送り出し機関へ支払うお金のことです。ベトナムの労働局は、手数料の上限(3年実習)を3,600USD+日本語教育費として約3万円弱と定めています。


技能実習生で来日する人の中には、ベトナム送り出し機関に対して、100万円を超える金額を支払っている場合もあり、悪名高い業者も存在しています。


私たちの会社では、教育費含めて3,800USDと寮費や制服など購入していただく分をご請求します。面接に合格したら半分。来日が決定したら、残りを納めていただきます。


募集、紹介者には、お仕事の紹介料として、1,000USDを本人に請求しても良いと認めています。紹介料について、「?」マークを浮かべてしまう方が多いと思いますが、詳しく知りたい方は、下記の記事を参考にしてください。



紹介料だけで、2,400USDが発生していました・・・。

a) 会社が実習生本人に対して、請求する金額
手数料、教育費3,800USD+半年分の寮費や制服代などとして450USD


b) 紹介料として、紹介者の報酬として認めていた金額 1,300USDまで
*通常1,000USDですが、募集が難しい建設業で、更にコロナ禍ということもあり上限を引き上げていました。


a) + b)=5,500USD


≪紹介者が、実習生に請求していた金額≫

約束で決められている上限額を飛び越えて、日本へ行くために6,200~6,400USDが必要と言われていました。


つまり紹介料だけで、2,000~2,400USDを取っていたことになります・・・。
ベトナム人の収入を考えると、とんでもない負担です。


その後の調査で、同様の被害者は4人もいたことが分かり、既に紹介料を全額支払っていたことが分かりました。強い憤りを感じると同時に、回収は厳しいなと思いました。


基本的に、実習生本人は、金額の内訳を知りません。
手数料、紹介料の総額は、全て送り出し機関に支払っているという感覚です。


≪2名の超過分は返金されることになりました!≫

ひと悶着ありましたが被害を受けた4名の内、2名の紹介者とは、それぞれ1,000USD弱を返金してもらうことで決着しました。


残り2名の紹介者については、内定を辞退して、他社の面接に参加すれば返金する、辞退しなければ返金しない、と。ルールを守らなかった自分を棚に上げて、まともに話が通じない相手でした。。しかも誓約書を書かせていたのは、こちらの紹介者でした。


誓約書には、送り出し機関に金額のことを話してはいけない、約束を反故したら、日本に行けなくなるなど書かれていたようです。誓約書は本人に渡されていないため、詳細を見ることは出来ませんでした。当の実習生たちは、金額について事前に説明を受けた上で払っているから仕方がないと考えていて争うつもりはないようです。


私たちとしては、上は100万円以上ある中で、少しでも沢山の方にチャンスを掴んでほしいという想いで事業をしていますが、それを逆手に取り、自分たちの利益だけのために悪事を行う紹介者に強い憤りを感じています。


≪紹介料が膨らむ理由≫

返金が決まった2名のケースでは、中抜きが発生していました。確認できたのは、紹介者の紹介者のそのまた紹介者といった感じで、紹介料を山分けしていたようです。


自社で集客できれば問題ないのですが、人を通じた紹介、縁故を頼りにするような文化が根強く残っています。人と人との距離が近い、繋がりの強さは、ベトナムの良さでもありますが、送り出し機関が展開するインターネット上での宣伝広告の効果が薄れる原因でもあります。また中には、ブラックな送り出し機関に騙されたとか、穏やかでない口コミもネット上に散見されますので、多少金額が高くなっても、知り合いの紹介を受けた方がマシと考える人も少なくありません。


結局、私たちにしても自社だけで募集できないのが、問題ではありますが、100%自社の看板だけで集客できる送り出し機関は非常に少ない、皆無ではないかと思います。優良で知名度のある会社からも、募集協力の話しが届くことがあるため、どこも募集には苦労していると思います。



・・・今回は、以上です。
実際に勤務先で発生してしまった汚点ではありますが、中に入って見ないと知ることが難しい内部事情だと思います。ベトナム人材業界がどのように成り立っているのか、何故100万円以上の借金を背負う必要があるのか、就業先から逃げてしまうのかなど、問題を多角的に捉えるための材料の一つにしていただければ幸いです。



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