ベトナム送り出し機関で働く日本人のブログ

ベトナム生活で日々感じたことを不定期更新します。ベトナム人材(技能実習生、技術・人文知識・国際業務、特定技能、インターンシップ)についてのご相談を承ります。

[特定技能]送り出し機関を選ぶ上での留意点

特定技能が新設されるにあたり、国別で一番期待されていたのがベトナムであろうと思います。しかしながら、4月の開始に出遅れ、7月に覚書(Memorandum of Cooperation, MOC)を結んだものの、未だにベトナム国内で「国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)」や「技能評価試験」の開催が未定の状況です。



遅れている理由の一つは・・・


ベトナム労働・傷病兵・社会問題省(MOLISA)は、特定技能を取り扱う送出機関は、「審査、許可制にする」と日本政府に約束しています。


現在、許可された送り出し機関はなく、審査中で、審査に時間がかかっているのだろうと考えられます。その様な状況ではありますが、この記事が受け入れを検討しいる方々の参考になればと思っております。


[最新情報]

9月中に許可が出ると噂が出ています。確か先月もそんな話をチラホラ耳にしました。


留意点① ライセンス停止、不許可

以前から、政府は送り出し機関に対してライセンス停止の処分を下すことがありましたが、滅多にありません。それが、ここ最近(いくつかの会社)2社の送り出し機関がライセンス停止になりました。


今回、停止処分を受けた会社には、かなり名の知れた大手が含まれていたことから、政府側の本気度を感じています。ライセンス停止の理由として関係者から聞いた話は、監理団体へのキャッシュバックなどの実態が政府側にバレたから、とのこと。


ベトナム政府は、送り出し機関周辺に聞き取り調査まで行っているため、ライセンスの停止は、更に増えるのではないかと噂されています。



・技能実習生と共通ライセンスであることから、特定技能はもちろん実習生事業も止まることになります。ライセンス停止までには至らなくても、実習生の在留資格が数百名単位で遅れている会社もあります。実習生の在留資格が遅れている場合は、要注意です。


・送り出し機関の営業者は、まとまってアポが取れると日本出張に行きますが、来日の際に短期ビザの申請が必要です。営業担当者の短期ビザについては、昨年あたりからかなり厳しく審査されるようになっています。10人に1人しかビザが下りない、9人が不許可の会社があります。送り出し機関のライセンス問題と直接関係があるか分かりませんが、黄色信号のような気がして心配になります。


・特定技能の審査を通過し、許可が下りたからといって安心はできません。バレていない、証拠がないだけというのが大半だと思います。



留意点② 特定技能人材が負担する手数料

ベトナム政府が、手数料の上限を作るのか注目しています。技能実習生では、上限3,600USD+教育費約3万円でした。


送り出し機関は、特定技能の試験組からは3,500~4,500USD程度の手数料が妥当ではないかと考えているところが多いようです。現段階では、技能実習生の上限程度にしておこうという単純な見積もりです。


更に、人材一人あたりお給料1ヶ月分の紹介料を取れると考えている送り出し機関もいます。日本語N4以上で、技能測定試験にも合格しているのだから、1ヶ月分はもらわないと割に合わないという考えです。


日本の皆さんからは、1か月分の紹介料は払えないという声が聞こえてきそうです、、。日本側から頂けないとのであれば、人材の手数料を増やそうと送り出し機関が考えるのは必至ではないかと思います


皆さん、適切な手数料は、いくらだと思いますか、、、?


私も分かりませんが、、ベトナムの生活水準などから40~50万円は取りすぎです。ここに募集ブローカーの手数料が乗ると、、人材はより高待遇の仕事に転職したくなるのは必然です。日本側から紹介料をいただければ有り難いですが、日本企業のベトナム離れが進んでしまうかもしれません。


送り出し機関の手数料は、確認必須項目です。必ず入国した人材、複数人にも直接確認することをオススメします。



留意点③ 送り出し機関の教育品質について

技能実習と特定技能の人材要件で違うところは・・・


技能実習は
・明確な日本語要件なし(介護以外)
・職歴は必要だが、技能や知識は問わない


特定技能は
・日本語要件あり「国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)」又は「日本語能力試験(JLPT)」N4級に合格(更に介護は、介護日本語評価試験に合格)
・「技能評価試験」に合格



技能実習は、人材さえ集まれば何とかなってしまう制度でした。教育はしなくても、入国させることが出来ました。ほぼ授業をしていない会社は少なからず存在します。


それに比べて特定技能は、人材要件のハードルが圧倒的に高いです。教室と教科書だけ用意すれば、何とかなる技能実習とは別物です。沢山の実習生を送っている実績があるという事実だけでは、心許ないのはお分かり頂けると思います。



おまけ 特定技能の開始により、留学、技術ビザに影響あり

昨年あたりから、留学生、技術ビザの申請がかなり厳しくなっています。


留学ビザは、学業が目的です。そのため、経費支弁者といって、日本留学中に必要となる学費や生活費を支払う者を立てて、学業に専念できることを証明しなければなりません。経費支弁者の書類を用意し、在留資格を申請しますが、残念ながら支弁者資料は偽造が横行しています。


留学生は、入国後アルバイトで学費、生活費、更に仕送りまで稼ごうとします。週28時間のバイトを認められていますが、それだけでは足りません。掛け持ちしたり、夜勤したり、犯罪に片足突っ込む人も出てきます。


日本政府は、バイト目的の人は、特定技能を選ぶようにと方針を明確にしています。特定技能の開始により、留学ビザと、技術ビザの審査も厳しくしています。


留学生のビザ申請は、許可された留学斡旋業者が行います。昨年10月から半年間の停止処分を受けた業者は、53社。無期限停止は1社です。



まとめ

今回は、送り出し機関を選ぶ上での留意点をまとめてみました。

  • 信頼できる経営陣、法令遵守の意識、組織に浸透しているか。
  • 人材の手数料は抑えられているか。
  • 特定技能人材に向けての教育が準備されているか。

以上、最後までお読みいただきありがとうございました。


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