ベトナム送り出し機関で働く日本人のブログ

ベトナム生活で日々感じたことを不定期更新します。ベトナム人材(技能実習生、技術・人文知識・国際業務、特定技能、インターンシップ)についてのご相談を承ります。

【特定技能】「国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)」について

特定技能の人材要件は、大きく2つのパターンがあります。

・元実習生 (同業種への移行であれば試験免除)


または、
・「技能評価試験」に合格
・「国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)」又は「日本語能力試験(JLPT)」N4級に合格


特定技能の介護については、これに加えて「介護日本語評価試験」に合格しなければなりません。


この記事では、「国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)」について調べたことをまとめてみました。


「日本語能力試験(JLPT)」については、こちらをご覧ください。




「国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)」について


外国人労働者の受け入れ拡大=特定技能のための、新たな日本語能力テストです。名称のとおり、国際交流基金が試験をつくり、2019年4月フィリピンにて第1、2回目が実施されました。日本語を母語としない外国人を対象に、「ある程度日常会話ができ、生活に支障がない程度の能力」があるかどうかを判定するものとなっています。



実施主体の独立行政法人国際交流基金(The Japan Foundation)とは・・・

外務省が所管する独立行政法人の一つで、世界24か国・29の拠点を持っています。運転資金の多くは、国からの補助金として約150億(2017年度)で賄われていますが、次点で「日本語能力試験受験料等収益」が約11億円(2017年度)となっています。



「ある程度日常会話ができ、生活に支障がない程度の能力」とは

ヨーロッパ言語共通参照枠(CEFR)に沿い、日本語習熟度を6レベル(A1、A2、B1、B2、C1、C2)に分けた中の、A2レベルを指しています。


C2が最もレベルが高く、A1は基礎段階の言語使用者とされています。


[A2レベルの目安]:
・自分の身近にある家族、仕事、買い物などに関して、簡単な言葉で表現や理解ができます。
・日常で起きたこと、簡単なことであれば情報交換できます。



テスト実施場所と日程は?

先行して始まったフィリピンでは、4月2回、5月3回、6月5回とほぼ毎月複数回を実施しています。直近では8月5日に実施されました。これは、漏れなく受験希望者がテストを受けられるための配慮だと思いますし、採用企業としても、在留資格の申請や受入体制の準備がしやすくなる点で有難いことと思います。


国際交流基金の試験実施要領には、2019 年度は、実施回数は一年度あたり5 回、実施時期は概ね4 月、6 月、10 月、1 月、3 月とすると書かれています。



➀フィリピン 
次回は、アテネオ・デ・マニラ大学内にて、9月14日予定されています。10月以降は、マニラ、セブ、ダバオの3都市開催で、各地で複数回開催されます。


②モンゴル(ウランバートル)
11月9日、10日、16日、17日


③カンボジア(プノンペン)
10月27日~30日


④ミャンマー(ヤンゴン)
10月30日~11月2日、11月6日~9日、11月14日~16日


⑤ネパール(カトマンズ)
10月27日~29日、11月5日~7日、11月12日~14日


*インドネシア、タイ、中国、ベトナムについては、試験実施環境が整った国から試験を行う予定とされています。また来日前に、能力を判断するものとして、現在日本での開催予定はありません。



テストの実施方法は?

[実施時間]:60分
[問題数]:60問程度


コンピュータ・ベースト・テスティング(CBT)方式といわれる形式を採用しています。テスト会場にコンピュータが用意され、画面に表示される問題やヘッドフォンに流れる音声をもとに、画面上で解答します。


CBT方式について | BJTビジネス日本語能力テストとは | BJTビジネス日本語能力テスト


試験内容と合格基準、結果発表について

[試験科目]:4つのカテゴリーに分かれます。
➀文字と語彙:生活に必要な場面や話題で使用される日本語の文字が読めるか、基本的な語彙を持ち、使えるかを測る。
②会話と表現:生活の具体的な場面の会話に必要な文法や表現を使えるかを測る。
③聴解:生活場面において、会話や指示などを聞いて、理解できるかを測る。
④読解:生活場面において、手紙や掲示、説明などを読んで、理解できるかを測る。



[合格基準]:総合得点は、250 点満点で、判定基準点(200点)以上で合格です。判定基準以上であれば「ある程度日常会話ができ、生活に支障がない程度の日本語能力水準に達している」と判定されます。



[結果発表]:テスト終了時の画面に、判定結果が表示されます。またテストの2週間~1ヶ月以内に、申込み専用ウェブサイトへログインすることで正式な判定結果通知書をダウンロードできます。


JLPTの合否は、ウェブで2か月ほど待たなければなりませんでした。これまでは、忘れたころに合否が分かるといった感じだったので、非常に有り難いです。不合格だった受験生にとっては、直ぐに再チャレンジの準備に取り掛かれますし、合格した受験生は、在留資格の申請が開始できたり、これから面接する人には、面接の合否にも大きく影響が出ると思います。



その他、受験費用など(フィリピン参照)

[申し込み方法]:原則として専用ウェブサイトから。フィリピンの9月予約については、実施地のテスト会場であらかじめバウチャー券を購入する必要があります。


[受験料]:1,500ペソ(約3,000円)


[試験当日]:身分証明書(パスポート、運転免許証、SSS IDなど)を持参、提示する。提示しない場合、テストを受けることはできません。



テスト結果

受験者数計 327名
基準点到達者数(合格者)計 129名
合格率(平均) 36.3%


フィリピンの結果を見てみると、受験者数は増えてますが、一方基準点到達率(合格率)は低くなっています。JLPTのここ数年間のN4合格率は30%台が続いているので、JFT-Basicも30%台に落ち着くのでしょうか。


日本語能力試験(JLPT)との比較

特定技能で来日を考える場合は、JFT-Basicの方が圧倒的に使い勝手が良さそうですね。


特定技能は他の在留資格と同様に、入国後は基本的に日本語能力を問われませんが、雇用先で5年間継続して雇用してもらうため、充実した日本での生活を送るため、将来の選択肢を広げるためにも、JLPTでN3以上の合格を目指していただきたいと思います。



まとめ


今回は、特定技能の開始に合わせて作られた「国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)」について調べてみました。


開催国からも読み取れるように、特定技能に特化した試験ということがよく分かりました。今後は、JFT-Basicに合格するための対策コース、テキスト、教授方法などが増えていくのではないかと予想されます。


気になっていたこととして、JLPTと同様に、直接会話力を測る試験は実装されていませんでした。試験対策が中心になり、会話力が身についていない状態で来日してしまうと、雇用先でコミュニケーションに起因したトラブルが起きることもあるでしょう。それ故、入国前の教育はとても大切になりますし、雇用側も制度や外国人が学ぶ日本語に対する理解、やさしい日本語を勉強するなどの心構えも大切ではないでしょうか。



以上、最後までお読みいただきありがとうございました。



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