ベトナム送り出し機関で働く日本人のブログ

ベトナム生活で日々感じたことを不定期更新します。ベトナム人材(技能実習生、技術・人文知識・国際業務、特定技能、インターンシップ)についてのご相談を承ります。

ベトナム技能実習生の手数料について(前編)

技能実習生たちが、来日するためにベトナム送り出し機関に支払う手数料について解説します。

「実習生は、来日するために100万円の借金と家族の期待を背負っている。」「高額手数料の裏には、ブローカーの存在と日本人への接待費や失踪防止の保証金が含まれている」といった報道がされています。


実際のところどうなのか。そして、これらの問題を解決することはできるのか・・・


1.ベトナム労働・傷病兵・社会省(MOLISA)は手数料の上限金額を定めています。

(改正後:2022年1月施行)
・手数料の上限
契約期間 12か月毎に賃金1ヶ月分
最大で賃金3ヶ月分


例)賃金 月16万円の場合
手数料の上限は賃金3ヶ月分 48万円になります。


これまで手数料は、技能実習生が負担するものとされていましたが、改正後は受入れ国側(実習実施者等)が一部負担するケースも想定されています。


技能実習生の負担 30万円
受入れ国側負担 18万円


一般の職種ではあまりないと思いますが、募集が難しい介護人材や、日本語検定取得者などを採用したいなど特別要件を設ける場合などに考えてみてもよろしいかと思います。


(改正前)
・3年契約の場合には3,600USドル以下
・1年契約の場合には1,200USドル以下


*教育費が別途設定されています。約520時間の日本語教育に対し、事前教育費として590万ドン以下(約3万円)


手数料と一言に言っても、紹介費用、寮費などは含まれない場合あります。


2.手数料(教育費込み)の相場は?


2018年現在の相場的には、5,000~8,000USDくらいではないかと思います。最安4,000USDから、最高12,000USD程度まで。5,000USD台なら安い、良心的という印象です。8,000USDを超えると取り過ぎだなと感じます。高い高いと言われていますが、4,5年前までは10,000USD超えが横行していました。


2017年11月技能実習法が施工されました。送り出し機関は、費用明細を作成し、技能実習生から徴収している明細書を技能実習機構(OTIT)へ提出することが義務付けられました。送り出し機関同士の競争や、台湾など隣国との人材争奪戦もあり全体的に安くなりつつあります。


3.手数料の上限をオーバーしているが問題ないのか?


ベトナム政府が定める上限はどうなったの?と疑問に思うところです。誤差の範囲内ならまだしも上限を大きく超える金額を取っています。


被害者である技能実習生たちはどう思っているでしょうか。
・手数料が高いのは普通と考えられており、むしろ安い金額では本当に日本へ行けるのか不安に思われている状況。
・そもそも制度を理解していない人が多い。
・リークした後で報復されるかもしれない、長いものに巻かれろ的な思考の人が多い。


これだけスマホが普及しているため問題が表面化しそうなものですが・・・


4.費用明細について


2017年9月頃だったと思いますが、当時勤めていた会社では、費用明細をどのように明記すればいいか頭を悩ませていました。7,000USD以上は頂戴していましたので、当然そのまま書くわけにはいきません。


結果、他社と相談して、同じような内容にしようと話し合いをしました。6社程の費用明細の素案を見比べましがた内容はほぼ同じでした。全て嘘です(笑)


業界全体が良い方向へ生まれ変わるチャンスでしたが、どうすればバレずに誤魔化せるかということに頭を悩ませていた経営者が多く、非常に幻滅したのを覚えています。



5.高額な手数料が発生する理由


・ブローカー
ベトナム国内で求職者を募集します。募集担当者は、自身が紹介した求職者の採用が決まると、本人から500~1,500USD程度を紹介料としてもらうことができます。


・接待費
渡航費、宿泊代、飲食代、遊興費を送り出し機関が負担します(契約次第です)


・送り出し管理費
受入企業が監理団体に支払う一部を、送り出し管理費として送り出し機関が受け取ります。技能実習生一人あたり5,000円~/月とベトナム労働局が定められています。相場は5,000円ですが、実際には裏取引があり、5,000円以下になることがあります。


・入国時の渡航費
受入企業が負担するものですが、送り出し機関が負担することがあります。


・日本語講習委託費
来日前に日本語などの教育を実施しますが、送り出し機関が負担することがあります。


・保証金
技能実習生が日本で突如失踪することがあります。失踪しないための担保として、失踪した場合の賠償金に使われます。保証金を徴収することも、賠償金を取り決めることも禁止されています。


・海外労働派遣の許可証(ライセンス)
送り出し機関には、ライセンスが必要ですが、取得するには多額の資金と時間を要します。外資は不可。数千万円は必要と言われています。



まとめ(前編)


・実習生たちが支払う手数料は、4,000~12,000USD。

・手数料はベトナムの法律で定められているが、実際には守られていない。


・手数料が高額になる理由は複数あり、手数料を下げることは簡単ではない。





以上です。最後までお読みいただき有難うございました。



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